2008年7月 4日 (金)

志望者少ない日本語教師

 常勤ポスト不足、待遇も低く

 国内外で日本語を学ぼうとする外国人が増える中、やる気のある日本語教師が数多く求められている。しかし、常勤のポストが少なく、給与も十分ではないため、待遇面の改善が大きな課題になっている。

 先月14日、早稲田大や国際教養大、長崎国際大など日本語教師を養成している12の大学が、東京・丸の内で日本語教師のやりがいをアピールするセミナーを開催した。

 「生徒が日本語で積極的に意見を話せるようになるとうれしくなるし、日本語や日本文化について改めて考えさせられます」

 早大の関連会社「早稲田総研インターナショナル」で、留学生に日本語を教えている坂田麗子さん(28)が話し始めると、集まった約150人の高校生や大学生は熱い視線を送っていた。

 こうした合同セミナーが開かれるのは極めて異例。その背景には、日本語教師の志望者不足がある。

 国際交流基金と文化庁の調査によると、1993年に101の国と地域で162万人だった海外の日本語学習者は、2006年には133の国と地域で298万人にまで増加した。国内の外国人学習者も95年の8万5000人から05年には13万6000人に伸びた。

 これに対し、日本語教師の志望者が受ける「日本語教育能力検定試験」の受験者は04年度の8401人から07年度は5837人にまで減少している。

 志望者が増えないのは労働環境が厳しいため。国内の日本語教師約3万人のうち、常勤職は約13%だけで、身分が不安定な非常勤職が約36%、残る約半数はボランティアだ。

 出版社「アルク」が昨年、360人を対象に実施したアンケートでも常勤職の平均月収は手取りで約21万円で、非常勤の時給平均は約1900円。「社会的地位の向上が求められる」といった声も寄せられた。

 日本語教育学会長で名古屋外国語大の尾崎明人教授は「日本語は誰でも教えられるという誤解があるため教師の待遇が改善されず、優秀な人材も育っていない。社会全体で日本語教師の役割を適正に評価することが求められている」と訴えている。

2008年7月 3日 (木)

教員免許更新の講習 開発に7大学を追加 文科省

 文部科学省は、来年4月からの教員免許更新制に向け、教員が受講する講習プログラムの開発委託事業に、宮崎大など7大学を追加で採択した。追加分では宮崎大と近大姫路大は今年8月に更新講習を試行的に開設する予定。星槎大、宮城教育大、東京学芸大、女子美術大、広島大は特別支援学校の教諭向け講習プログラムの開発などをする。

 文科省は4月に101大学・法人の試行講習やプログラム開発を事業採択している。教員は免許更新の際、大学などで講習を受け、修了認定を得るのが必要。採択された試行講習を受ければ更新制実施後の講習が免除されるものもある。

G8大学サミット:「持続可能な社会へ」宣言−−閉幕

 札幌市で開かれていた「G8大学サミット」は1日、北海道洞爺湖サミット(主要国首脳会議)に参加する各国首脳らに、気候変動に対し早急に科学的に適切な政策を実施することなどを求めた「札幌サスティナビリティ(持続可能性)宣言」を採択し、閉幕した。

 宣言文は、地球規模の環境問題解決に向け、持続可能な社会の実現が国際社会にとって緊急の政治課題であるとの認識を示し、大学がその原動力となるとの決意を盛り込んだ。議長を務めた東京大の小宮山宏学長らが4日、福田康夫首相に宣言文を手渡す。

「医学部に裏口入学」 1千数百万円詐取の疑い 大阪

 「私立大学の医学部に裏口入学させる」などと持ちかけ、受験生側から1千数百万円をだまし取った疑いがあるとして、大阪地検特捜部は2日、大阪府内の自称音楽家の男ら数人について詐欺容疑で任意の事情聴取を始めた。

 特捜部の調べによると、男らは、私立大の医学部を志望していた受験生の家族に「裏口入学できるよう手配する」などとうそをつき、現金1千数百万円を詐取した疑いが持たれている。

 家族は数年前、知人の紹介で男に会い、海外の高校に通っていた受験生の進路について相談した。男から複数の大学の医学部の名称を挙げられ、裏口入学のあっせん料として数回にわけて現金を渡したという。受験生は紹介された大学の入学試験を受験しなかったため、男に返金を求めたが返されず、家族が特捜部に刑事告訴していた。

長崎大、国際保健の即戦力養成

 エイズ、マラリア、母子の健康改善

 発展途上国で、エイズ、マラリアなどの感染症対策や母子の健康改善などに取り組む国際保健の専門家を育てる国内初の「国際健康開発研究科」が、長崎大学大学院に今春誕生した。

 途上国で健康問題を取り扱うには、貧困や女性差別の解消も避けて通れない。活動を円滑に進めるには、文化、価値観の違いの理解も欠かせない。そのため、熱帯病の研究で実績のある熱帯医学研究所を中心に、経済、文化人類学など幅広い分野の研究者が教育に参加する。国際金融から環境、運営管理まで講義は多彩。国境なき医師団で活躍する黒崎伸子医師(51)も「緊急医療援助論」を担当する。

 「横断的な知識を身につけ、現地で自ら学び、考える即戦力となる人材を育てたい」と、青木克己研究科長(65)は意気込む。

 第1期生は、女性10人、男性1人。医師や看護師、社会福祉士などの資格を持ち、全員が青年海外協力隊などで、海外で活動した経験がある。

 吉岡浩太さん(27)は東京大学卒業後、青年海外協力隊員として、コスタリカで農村開発、グアテマラで感染症対策に取り組んだ。「3年間途上国で働いたが、理論や知識に飢えていた。経験を体系立てて整理して、今後に生かしたい」と話す。

 パラグアイで獣医師として野良犬の管理を行った岩下華子さん(35)は、「優秀な人材をまとめて仕事をするコーディネーターに興味がある」と志望動機を話す。

 松岡裕子さん(27)は、ケニアでエイズ対策に取り組んだが、「科学的な考え方を身につけ、国際的な民間活動団体(NGO)などで働きたい」と話す。

 学生は、1年目に3週間、2年目に8か月の途上国での研修が義務付けられる。今年は8月から、バングラデシュを訪れ、NGOなどで、感染症対策や地域保健医療の実務を学ぶ。

 社会人を経験し、目的を持っての入学なだけに、学生たちの意欲は高い。24時間使える自習室は、深夜遅くまで明かりがともり、「息切れしないか」(青木研究科長)と心配する声が出るほど。経済や疫学の自主勉強会にも熱がこもる。

 NGOなどで現場経験豊富な松山章子准教授(48)は「国際援助も量より質。これからは人材の育成がカギを握る」と力を込める。

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