奨学金滞納の学校公表
返済意識高める 学生指導に期待
「日本学生支援機構」が、奨学金の返済が滞っている卒業生の割合が高い大学など学校名を公表するための基準作りを進めている。
◆要約
◇奨学金の延滞額は増え続け、2007年度末で過去最高の2253億円に上った。
◇就職率の高低が延滞率にも影響しており、公表には特殊事情の考慮も必要だ。
奨学金の延滞額は、年々増え続け、2007年度末で2253億円に上った。日本学生支援機構が奨学金の返済を延滞する卒業生の割合が高い学校名の公表に踏み切るのは、一向に減らない延滞金の解消に学校側も責任を果たしてもらうためだ。
奨学金は大学の学生課などを通じて、成績や保護者の所得基準の審査など申し込み手続きが行われる。学校は奨学金を受けている学生の単位取得状況などを同機構に報告し、在学中の奨学金の支払いが円滑に進むように努めている。
一方で、奨学金の回収について学校はほとんど関与していない。実際の返済は学生の卒業後に始まり、学校が卒業生の進路や住所を把握して返済を督促するのは事実上、無理だからだ。
同機構も学校に対し、奨学生の卒業後まで指導するように期待しているわけではない。想定しているのは、在学中の奨学生に奨学金返済義務の意識を高めるための指導を増やすことだ。
現在は学生課などの担当者が奨学生の卒業時に、返還方法や1年以上延滞すれば法的措置を取ることなどの注意事項を知らせる説明会を開いている。07年度末の同機構の調査では、この説明会さえも実施しない学校が奨学生のいる学校の1割を占めた。
06年度末は、300人以上の返還義務者がいる大学の中で、延滞率が20%以上の大学が7校で、このうち1校は30%を超えた。専門学校では50人以上の返還義務者がいるうち、延滞率が30%以上の学校が12校あり、文部科学省には「奨学金の回収に非協力的な学校が一部にあり、それが延滞額を増加させている一因」(幹部)との意見も強い。
大学生のほとんどが奨学金を受ける米国では、連邦政府の奨学金返還の延滞率が3年間の平均で25%を超えた大学名を公表し、その大学の在学生には3年間、奨学金を貸与しないという厳しい罰則を設けている。学校名公表の方針決定に際しては、こうした事例も参考にした。
学校側は今回の方針を深刻に受け止めている。ある大学の奨学金担当者は「学校名の公表で志願者数に影響が出る可能性もある。果たして延滞率改善に学校としてどれだけ効果がある指導ができるだろうか」と、校名の公表が延滞率改善につながる効果を疑問視する。
延滞率が高い学校を見ると、新卒学生の就職率が低い地方の学校や、もともと就職口が少ない芸術・体育系などの学部がある大学や専門学校が多いという。
校名公表にあたっては、単に延滞率を比べるだけでなく学生数や地域など各学校の特殊事情を考慮に入れなければ、今回の措置は単なる「見せしめ」に終わってしまう可能性がある。
延滞率の改善に向けた効果的な取り組みを学校側に促す基準作りが期待される。


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