「劇症の食物アレルギー」 学校現場、慎重な対応を
■リスク高い「ピーナツ」「そば」
そばやピーナツ(落花生)は食物アレルギーの中でも、劇症のアナフィラキシーを引き起こすとされる。給食で「ピーナツあえ」が出たり、修学旅行でそば打ち体験をしたり、学校現場では、これら食品に触れる子供も多いが、アレルギーの専門家は「食物アレルギーは命にかかわること」と、慎重な対応を求めている。(平沢裕子)
食物アレルギーは、場合によっては死に至ることもある疾患だ。米国ではピーナツなどナッツ類が原因で年に50〜100人が死亡しているほか、日本でもそばやエビが原因の死亡が毎年数件報告されている。
食物アレルギーを起こす食品には卵や乳、小麦、そば、ピーナツ、エビ、カニなどがあるが、中でもそばとピーナツはショック死することもある劇症のアナフィラキシーを引き起こす食品として、特に注意が必要だ。そばについては、20年前にそばアレルギーの中学生が給食のそばを間違って食べて死亡する事故があったことから、今では学校給食で出されることはほとんどないという。
給食の献立には上らないそばだが、最近は修学旅行の体験学習として「そば打ち」を行う学校も多い。複数ある体験学習の選択肢として用意される場合が多いが、相模原病院臨床研究センターアレルギー性疾患研究部の海老沢元宏部長は「そば打ちは、そばアレルギーの子はやりたくても絶対できない体験。その子は別の体験をすればいいというかもしれないが、学校行事ならば、すべての子供が共通で楽しめるものを探すべきではないか」と疑問を投げかける。
一方、そばと同じように重い症状を引き起こすピーナツは、「ピーナツあえ」などでたびたび学校給食の献立となっている。群馬県玉村町学校給食センターでは5月にピーナツあえの給食を出した。同センターでは毎月1回、「日本の味めぐり」として、全国の郷土料理を献立に加えており、このときは「千葉県」の料理を紹介したものだった。
同センターの栄養士、福永桂子さんは「千葉県といえば生産量日本一の落花生は欠かせない食品で、ピーナツあえはアレルギーのない子供にはぜひ伝えたいメニュー。事前に献立を知らせ除去にも対応しており、問題もなかった」と話す。 半面で「みんなが食べられる献立にしたいため、食物アレルギーと関係する食品はなるべく使いたくないが、栄養や価格の面からほかに材料がみつからないときは使ってしまう。アレルギーのある子には除去などで対応しているが、本当に頭の痛い問題」と打ち明ける。
文部科学省は、学校給食での食物アレルギーの対応について、学校と家庭、主治医の連携を密にすることや除去食・代替食の提供か弁当の持参で対応するよう通知を出しているが、そばなど食品を特定して使用を禁じることはしていない。学校健康教育課学校給食係では「アレルギーのある子には危険な食品でも、多くの他の子供には問題がない。問題がない子たちの食べる機会を奪うのはどうかという問題もあり、食品を特定して禁止することはしない」という。
海老沢部長は「ピーナツやゴマ、キウイは、給食が原因で食物アレルギーを新規に発症することが多い食品。除去すればいいというが、これらは栄養素の面から他に代わるものがないという食品ではない。最近は食育からこうした食品を使うケースが多いようだが、食物アレルギーは場合によっては死に至ることを考えれば、これらの食品を給食で使うのはやめるべきだ」と警鐘を鳴らしている。
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■現場用手引を作成 三重県教委
学校給食の食物アレルギー対応は、給食を実施する市町村によって大きく異なる。アナフィラキシーを起こしたときの対応も、担任教諭など全教員が知っておく必要があるが、必ずしもこうした態勢がとれていないのが実情だ。
三重県教委は今春、食物アレルギーに対応する学校給食などの手引を作成、アレルギーの原因食品を把握する手順や、給食での代替食品の例、緊急時の対応法などをまとめている。生徒指導・健康教育室の水谷明弘室長は「食育への関心が高いが、給食で最も重視しなければいけないのは、安全に提供すること。アレルギーは命にかかわることで、県内すべての学校の教員が正しい知識を持つ必要がある」と話す。


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