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2010年2月17日 (水)

【教育動向】高校「無償化」の意味するもの


 政府の新年度予算案で、民主党マニフェストの目玉政策である「高校無償化」が盛り込まれたことは、ご存じだと思います。これについては、家庭の経済的な負担軽減という側面ばかりでなく、教育の理念という面でも、さまざまな意味をはらんでいると思います。今後の課題も含めて、考えてみたいと思います。

 まず文部科学省予算案で、その内容を見てみましょう。公立高校については、授業料が全額徴収されません。私立高校は、公立の「標準額」に当たる11万8,800円分を減額することにし、特に年収250〜350万円未満程度の世帯は標準額の1.5倍(17万8,200円)、250万円未満程度の世帯は2倍(23万7,600円)に、減額分が増やされます。つまり、私立に通う場合でも公立相当分が軽減され、低所得世帯にはさらに手厚くなっているわけです。

 ただし、これは授業料だけの話です。高校に通うには、入学金などの納付金、学用品費、修学旅行費、通学定期費など、さまざまなお金がかかることは、言うまでもありません。文科省の2008(平成20)年度調査によると、公立では約35万7,000円、私立では約78万3,000円かかっていました。そのうち授業料は、公立で3割、私立で4割を占めるに過ぎません。学校外教育費などを加えれば公立約51万6,000円、私立約98万1,000円にも上ります。

 義務教育である小・中学校でも、無償なのは授業料と教科書費だけですし、私立小・中では授業料も徴収されているのですから、高校に通う諸経費を家庭が負担するのは、当然のようにも思えます。それでも、やはり重い負担ですよね。

 昨年10月の概算要求では、以前お知らせしたとおり、年収350万円以下の世帯45万人に、入学料や教科書費の分を奨学金の形で支給する予算123億円を盛り込んでいました(8月の旧政権下の概算要求では学用品費や修学旅行費なども対象に加えた455億円)。しかし、これは年末の予算査定で、ゼロになってしまいました。授業料以外の負担軽減をどう図るかは、今後の課題として残されたことになります。

 ただ、義務教育ではない高校の授業料が無償となったことには、大きな意味があります。1966(昭和41)年の国連総会で採択された国際人権規約では、中等教育(日本では中学校と高校)について、「無償教育の漸進的な導入」を求めています。ところが、この条文を留保している国が締約国160か国のうち2か国あって、それがマダガスカルと日本でした。今回の高校無償化により、ようやく≪国際標準≫の仲間入りをしたわけですね。

 それでも高校は、国内法上は「義務教育」ではありません。進学率が98%にまで上る現在は「準義務教育機関」とさえ言われていますが、単位を落としたり、経済的に困窮したりすれば当然、中退も余儀なくされます。しかし生徒の実態を考えても、いま高校教育には、義務教育並みの手厚さが必要になっているのではないでしょうか。単なる授業料の無償化で終わらせることなく、高校の在り方を改めて考える、良い機会のように思えます。

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